前立腺肥大症

前立腺は、男性の生殖器の一つで、精液の一部を造ったり、精液の中で精子の機能を良くするための環境作り、といった役割をもつと考えられています。

この前立腺が、年齢とともに大きくなってくることがあり、これが前立腺肥大症です。軽度のものを含めると、60歳以上の男性の約半数の男性に起こってくるといわれている病気です。

なお、この病気は良性の病気で、あとで述べる前立腺がんとの関係はありません。

最初に出てくる症状は、おしっこが近い、出るのに時間がかかる、切れが悪い、出る勢いが弱い、などですが、もう少し病気が進んでくると、排尿の後も膀胱に尿が残るようになるため、残尿感が出たり、場合によっては尿が漏れたり、腎臓に悪い影響がでてしまうこともあります。更に進行した場合には、全く排尿ができなくなる、「尿閉」といわれる状態になることもあります。

前立腺肥大症はすでに述べたように大変多い病気なのですが、全ての患者さんに治療が必要というわけではありません。ある程度症状が強くなった場合は、薬物治療を行います。薬物治療としては、症状をやわらげるためのアルファ・ブロッカーが主流ですが、そのほかにも漢方薬、生薬のようなものから、前立腺を小さくする効果のあるホルモン治療の薬まで、状態に応じていろいろな薬が開発されてきています。

状態によっては手術が行われますが、最近はおなかを切って手術をする場合は少なく、尿道から内視鏡を使って前立腺を削り取る方法が一般的です。さらに、高齢の方や、他に大きな病気のある方に対しては、温熱療法や、レーザー、超音波を用いた手術法なども行われるようになってきています。