前立腺癌

前立腺がんは、従来は欧米人に多く、日本人には少ないがんだと考えられてきましたが、最近日本でも急激に増加してきています。その原因は、生活様式の欧米化や、食生活にあるのではないかと考えられています。

前立腺がんの診断方法で、最近最も注目されているのがPSA検査です。普通の血液検査と同じように、採血するだけで前立腺がんの可能性の有無を判断することができます。この数値が4.0以下の場合、99%がんはない、といえます。一方、PSA値が10を超える場合は、40%の方にがんが発見されます。血液だけで検査できるこの方法は、急速に普及してきており、私のクリニックのある市川市も含め、各地の検診にも取り入れられてきています。

PSA検査に、直腸から行う触診、超音波検査、MRIなどを追加することで、早期の前立腺がんも、かなり正確に診断できるようになってきていますが、最終的に診断を確定するためには、生検といわれる検査が必要です。

生検の結果、前立腺がんがある、と診断されても、決して悲観的になる必要はありません。一般的に、前立腺がんは、他のがんと比べて非常におっとりした性格で、ある先生の報告では、がん細胞が一個発生してから症状が出る状態に成長するまで40年かかる、といわれているほどです。早い段階で発見して治療を行えば多くの場合、完全に治すことができますし、もしある程度進行してから発見された場合でも、ホルモン治療や、放射線治療などの方法があり、治療効果はほかのがんと比べて抜群です。
手術法も、お腹を切らずに腹腔鏡を用いて行ったり、手術用ロボットを使っての方法など、患者さんにとって負担や苦痛の軽い方法が開発され、年々進歩してきています。